凍傷アローズ(えっ、東証?)

自分が従事している家業は、もともと爺ちゃん(平成元年没)が、葛飾区の四ツ木という町工場地帯で傘の骨を作っているところから始まった。第二次大戦中は工場が軍需転用されたので爺ちゃんは実は徴兵を逃れた。朝鮮戦争特需で爆発的に生産が増え、追いつかなかったので千葉の柏に工場を移転した。しかし、ドルショックで、製造の拠点は韓国、台湾、そして昨今中国に移った。柏の地所も売り払い、いまは完全に中国の委託工場に移った。しかし、生産量は毎年減る一方。
けれども、たかが、、というよりも、結局されど、、、
作り手である自分は存在していないといけない。
ホリエモンねえ。ITねえ。
実は僕は大学を出てから、物流関連のネットワークの仕事をしてた。いまから十数年前。あのころはITとは言わず、ニューメディアと言われた時代。まだインターネットは一般化されず、ホストと端末を結ぶ専用線も9600bps(帯域)。符号式でも28.8kbpsでたかなああ。
物体となる物をつくらなくてお金儲けをした仕事の経験はしている。ITの走りだった。
在庫やら、部材仕入れに悩むという事はなかった。
せいぜいなやむのは、一日中端末や、冬でもクーラーがんがんのマシンルームでMTを使って勤務シフトによっては夜遅くまでバックアップするとかだったかな。

そういうのを知っているから、今自分が家業を継いで、やれ在庫、部材に翻弄されて、当時のネットワークの仕事をしてた時がむしょうに懐かしくなる事がある。

でも、僕は、家から「物を作るという事は素晴らしい。部材を仕入れて、物体をつくってこそ強いんだ。」と叩き込まれてきた。PCをパチャパチャやって一日にウン百万も儲かればこんな夢みたいな話はないし、いっその事、家業をたたんで、、、と滅相もない事だって考えた。当然、ホリエモンや三木谷さんにも憧れというものはないにしろ、羨望というものはあった。
特にホリエモンさんは、面白かった。
CXとLFの問題にしろ、野球の事にしろ、ジジイに立ち向かった姿は、正直アッパレとも思った。しかし、法治国家である以上、法に抵触しまうのならば、話は別と言わざるを得ない。

東証アローズが凍りつくまさに凍傷アローズにしてしまう事を、ホリエモンさんはやってしまったわけで。まるでテロでも起こって市場がストップしたのと同じ事なのでしょう。

お金が出来れば、六本木の高層マンションに住み、人気タレントと恋人関係でいられる。多くの人が羨望する事でしょう。
しかし、それが砂上の楼閣に過ぎなかったという現実の恐さ。

時価総額3000億円を失ったという事ですが、
レインボーブリッジを作るのに1800億、六本木ヒルズの総工費で2700億だそうだ。これといった固定資産の無い会社がこれだけの損を出すという事がどんな事をもたらすのか。
例の姉歯の問題といい、いったいいつからこの国は堕落する事を徳とする国になったのだろう。中国をやたらに脅威に捉える人が多いが、僕が知る限り中国の人はとてもよく働くし、こつこつ努力する。訒小平さん以降、中国はコツコツとものづくりをしてきたからこれだけの経済大国になった。何も昨日今日築けたのではない。
それと、政治家も銀行も(特にみ*ほ)コツコツものづくりする人を馬鹿にしてきた。取引銀行は「あなた方負け組は早く畳んでください。」とまで言った。

すぐにとは言わないが、コツコツものづくりをしてきている人がもう少し陽の目をみれるようになってもらいたい。

経団連奥田会長トヨタ自動車会長)に告ぐ。
あなたが一番ものづくりの根幹を知っている人なのでは。
反省しなさい。

それと、自分が負け組であるかの判断は、もう少し保留しよう。